スタジアムの歩み
1.新球場建設気運の高まり
旧広島市民球場は昭和32年の開設後約50年あまりが経過し、施設が老朽化するとともに、狭い観客席などのサービス面やロッカールームなどの選手諸室等の機能面で、多くの課題がありました。
一方、近鉄バッファローズ、オリックスブルーウエーブの合併問題に端を発した球界再編問題が起き、カープ存続を危惧する声が生まれました。
カープ存続に危機感を抱いた市民・県民や経済界から新球場建設の機運が急速に高まり、広島市が呼びかけ平成16年(2004年)11月26日、「新球場建設促進会議」が設置され、平成17年(2005年)3月30日に新球場建設の方向性をとりまとめました。
2.建替えか新設か
まず旧市民球場の建替えについて、技術的検討をおこないました。旧球場周辺には公共施設や民間建物が隣接しているため、敷地上の制約や、プロ野球を開催しながら建替えるといった特殊な条件を踏まえた検討となりました。
また、カープ球団の意見を求めたところ、観客数の減少等経営上の問題とともに、工事期間中の観客や選手の安全確保についての懸念を指摘されました。
このことから、旧市民球場の建替えは、技術的制約要因が多く、実現には多くの困難が伴うことや広島市の厳しい財政状況などから、現在地での建替えは、極めて困難であり、建設場所は、ヤード跡地にならざるを得ないと判断しました。
3.新球場建設の基本方針
こうした検討結果や広島市の考え方をもとに「新球場建設促進会議」などで議論を重ねた結果、平成17年(2005年)9月16日、建設場所をヤード跡地とする「新球場建設の基本方針について」を公表しました。
- 建設場所は、ヤード跡地とする。
- 球場形態は、観客定員約3万人の天然芝のオープン球場とする。
- 完成時期は、平成21年(2009年)のプロ野球シーズン開幕までとする。
- 事業主体は、広島市とする。 など
4.該当案がなかった第1回目の設計コンペ
基本方針を受けて設計・技術提案競技を実施、選考委員会において条件を付して選考されたHATグループ案は、次の理由でその条件をクリアしていないと判断し、広島市としてはHATグループ案を当選案として採用しないこととしました。
- 提案内容のうち「アーチの事業費(90億円を超える部分)」について、アーチを建設し、運営する具体的な企業名等は明らかにされていないなど、資金調達等の確実性が担保されたとは言い難いこと。
- カープ球団の意見として 「HATグループが提案された球場を使用して、今後50年間にわたってプロ野球興行を行っていく自信が持てない」としていること。
5.設計業者の選定から基本設計へ
さらに広島市では、新球場の設計者を選定するための「広島市新球場設計提案競技」を平成18年(2006年)6月から実施。
選考委員会での選考結果を踏まえ、10月2日に当選作品を決定しました。その後、提案者の株式会社環境デザイン研究所と設計業務委託契約を締結し、新球場の設計に着手しました。
【基本設計の施設概要】
- グラウンドの大きさ
- 右翼100メートル 左翼101メートル 中堅122メートル
- 観客席数
- 30,350席(固定席)
- 観客席寸法
- 横幅50cm、奥行間隔85cm
- 主な特徴
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- グラウンドの開放感、通風、街との一体感を確保するため、球場を北側のJR側へ大きく開く形態とし、新幹線などJR車窓からも球場の楽しさを感じることができます。
- 1階観客席の最後部に、幅が広く、段差のないコンコースを配置しており、グラウンドを眺めながら周回することができます。 など
6.新球場建設を共同発表、いよいよ工事着手へ
平成19年(2007年)5月24日に、広島市で資金計画を含む新球場の事業計画をとりまとめたことから、広島県知事及び経済団体の代表者の方々に対して、広島市長から新球場建設の資金協力をお願いしました。
これに対し、新球場建設について、市・県・経済界で協力して進めることを確認し、平成19年(2007年)6月4日に共同発表。
平成21年(2009年)3月の竣工に向け、2007年11月26日、いよいよ工事が着手されました。
- 建築本体工事
- 五洋・増岡・鴻治建設工事共同企業体
(共同企業体構成員:五洋建設株式会社 株式会社増岡組 株式会社鴻治組)
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- 電気設備工事
- 中電工・日本電設・長沼建設工事共同企業体
(共同企業体構成員:株式会社中電工 日本電設工業株式会社 株式会社長沼電業社)
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- 電光式スコアボード設備工事
- パナソニックSSエンジニアリング株式会社
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- 衛生設備工事
- 東熱・旭調温建設工事共同企業体
(共同企業体構成員:東洋熱工業株式会社 旭調温工業株式会社)
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- 空気調和設備工事
- 高砂熱学工業株式会社
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- 都市ガス設備工事
- 広島ガス株式会社
7.供用開始
平成21年(2009年)3月28日に竣工式が行われ、4月1日から供用が開始されました。
広島市民球場指定管理事務室
〒732-0803 広島市南区南蟹屋2丁目3−1 TEL:082-568-2777 FAX:082-568-2778